ボビイ・ブラウンの「人を幸せにするシンプルで確かな方法」
君島十和子さんが読んで「改めて、メイクは何のためにするかを考えるきっかけ」になった本『ボビイ ブラウン リビング ビューティー』(ボビイ・ブラウン著 高梨明美訳 ランダムハウス講談社刊)。
『marisol (マリソル) 2008年 06月号』に同書の著者ボビイ・ブラウンさんと君島十和子さんの対談が4ページにわたって掲載されています。
この記事ではこの対談をより深く理解するために、『ボビイ ブラウン リビング ビューティー』を掘り下げ、その美容哲学に迫ってみたいと思います。
»マリソル6月号掲載 ボビイ・ブラウン×君島十和子対談 レビュー
なぜ細部にこだわってしまうのか?
ボビイ・ブラウンさんと君島十和子さんの対談は以下のような会話のやりとりから始まります。
君島:はじめまして。お会いできてうれしいです。もともと私はメイクアップが大好きなんですけれど、ボビイさんの本『リビング ビューティー』を読んで改めて、メイクは何のためにするかを考えるきっかけになりました。
ボビイ:まぁ、それはよかった!
君島:日本にいると、例えばまつ毛をあと何ミリ長くとか、眉の形をどう描くかということに、つい一生懸命になってしまうんです。でも、大事なのはそこではないんですよね。
ボビイ:そう。細かいことにこだわることより、大事なのはインナービューティですから。
『marisol (マリソル) 2008年 06月号』P.156より
君島十和子さんは対談の中で、「日本にいると、例えばまつ毛をあと何ミリ長くとか、眉の形をどう描くかということに、つい一生懸命になってしまうんです」と告白しています。
確かに日本の女性誌に特集されるメイク関連の記事は「どうすればメイクがうまくいくか」、「どのコスメやツールを使えばいいのか」などのHOW to情報ばかりで、「何のためにメイクをするのか?」を読者に考えさせるような記事にはなかなかお目にかかれません。
君島十和子さんの言うように、日本にいると、「まつ毛をあと何ミリ長く」とか、「眉の形をどう描くか」とかの細部にこだわるようになってしまうのは無理からぬことなのかもしれません。
メイクアップに関心の高い人は特に。
何のためにメイクをするのか?
メイクがすっかり日常に溶け込んでいる人の中で、「何のためにメイクをしているのか」と自問したことのある人はどのくらいいるでしょうか?
いい機会なので、ここで考えてみることにします。
A:キレイになるため。
A:若く見せるため。
A:年相応に見せるため。
A:シミ・シワを隠すため。
A:別人になるため。
:
:
メイクをする人にはその人なりの「メイクをする理由」があると思います。
例えば「キレイになる」ことが目的の人であれば、メイクはその目的を達成するための1つの手段ですし、実際メイクによって「キレイ」になれれば成功(満足)、となるわけです。
ただ、世の中にメイクに関するHow to情報があふれかえっていることを考えると、その人の定義する「キレイ」になかなか到達できないと思っている人がほとんど、ということなのかもしれません。
:
A:メイクするためにメイクをする。
A:メイクをするのに理由はない。
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中には手段が目的になってしまって、もはやメイクをする理由を必要としなくなっている人もいるでしょう。
上の問いに、「メイクするためにメイクをする」、「メイクをするのに理由はない」と回答する人がそれです。
:
A:「何のためにメイクをするのか?」なんて考えたこともなかった。
:
:
「メイクをする理由」を考えた(意識した)ことがない、という人も決して少なくないと思います。
あくまで想像ですが。
『リビング ビューティー』とはどんな本か?
君島十和子さんは対談の中で「ボビイさんの本『リビング ビューティー』を読んで改めて、メイクは何のためにするかを考えるきっかけになりました」と言っています。
これは普段からメイクアップに関心があり、経験も豊富で情報にも精通している人にも(そうでない人はなおさら)、「何のためにメイクをするのか?」を考えさせる内容を『ボビイ ブラウン リビング ビューティー』は含んでいることを意味しています。
つまりこういうことです。
『ボビイ ブラウン リビング ビューティー』はメイクアップの専門家によるありふれたHow to本ではなく、「何のためにメイクをするのか?」を読者に考えさせ、「キレイ(美しい)」についての再定義を促す本になっています。
「インナービューティ」とは何か?
ここで、もう一度ボビイ・ブラウンさんと君島十和子さんの対談を引用します。
君島:日本にいると、例えばまつ毛をあと何ミリ長くとか、眉の形をどう描くかということに、つい一生懸命になってしまうんです。でも、大事なのはそこではないんですよね。
ボビイ:そう。細かいことにこだわることより、大事なのはインナービューティですから。『marisol (マリソル) 2008年 06月号』P.156より
君島十和子さんは『ボビイ ブラウン リビング ビューティー』を読んで、実際に「何のためにメイクをするのか?」を考えさせられ、おそらく何か気付きを得たのでしょう。
対談で「でも、大事なのはそこ(細部にこだわること)ではないですよね」とボビイ・ブラウンさんにそれを確認しています。
ボビイ・ブラウンさんもその認識に太鼓判を押し、「大事なのはインナービューティですから」と応えています。
では、まつ毛の長さや眉の形よりも大事な「インナービューティ」とは何なのでしょうか?
私が『ボビイ ブラウン リビング ビューティー』を一読したところ、それは「キレイ(美しい)」という言葉の一般的な意味(定義)から解放され、「その人らしくあること」、「自分らしくあること」という新たな意味を付け加えることのように思えました。
言い換えれば、「キレイ(美しい)」とは「その人が持つ固有の美しさ」を発揮することであり、「その人らしさ」が最高の形で表現された状態と再定義することです。
「進化」を遂げた女性とは?

美しさの秘けつは、自分らしくあること
私たちは、美しさに対する考え方を根本から変える必要があります。自己嫌悪の悪循環に陥るのか、不満を解決する知識を身につけるのかは、あなた次第です。私は、エイジングの悪いイメージを払拭するつもりです。エイジングとは、女性が、活気、強さ、知性、そして新しい美意識をさらに身につけていく過程なのです。それはまさに、進化といえます。現代は、女性がどんな年齢でも最高の状態でいられる方法がたくさんあります。知識と戦略に基づいてライフスタイルを大きく変えれば、40代、50代、60代になっても、10年、いいえ20年前よりも素敵な自分になることだってできるのです。『ボビイ ブラウン リビング ビューティー』はじめに より
一般的な意味における「キレイ(美しい)」という意味に縛られ、「エイジング(歳を重ねていくこと)」という言葉にネガティブなイメージを抱いている40代以上の女性の場合、10代や20代の何一つ欠点がないかのように思える女性を目にしたり、過去の「美しかった」自分を思い出したりすることで、簡単に自己嫌悪することができます。
人は年齢を重ねていくよりないので、年々自己嫌悪の頻度は上がり、やがてその悪循環にはまって自分に自信を失っていきます。
そうした女性がいる一方で、自分に自信を失うことなく魅力的であり続けている女性も確かに存在します。
そうした女性の中には君島十和子さんのように容姿が整った(遺伝的に恵まれた?)人たちだけでなく、そうではない人も含まれています。
ボビイ・ブラウンさんからすれば、そうした女性は「進化」を遂げた女性になるのでしょう。
その人は「不満を解決する知識」を身につけ、「エイジングの悪いイメージを払拭」し、「女性が、活気、強さ、知性、そして新しい美意識」を獲得したのです。
2つのメイク、あなたはどっち?
対談は次のように続きます。
君島:ボビイさんのメイクは、ただきれいなだけではなく、その人自身のパーソナリティが出て、温かみや、親しみが増すメイクですね。
ボビイ:その人のいいところを前面に出すようにしています。そうすると新鮮に見えますし、きれいになることで自信にもつながります。みんなが十和子さんみたいに美人であればいいんだけれど(笑)、そうじゃない人もメイクをすることで自信が出てきます。つまり、"キレイ"は人と比較するものではなく、その人らしい美しさなのです。『marisol (マリソル) 2008年 06月号』P.156より
君島十和子さんの「ボビイさんのメイクは、ただきれいなだけではなく、その人自身のパーソナリティが出て、温かみや、親しみが増すメイクですね」というコメントから、メイクには2種類あることが読み取れます。
1つは「きれいなだけ」のメイク。
もう1つは「その人のいいところを前面に出」すメイク。
ボビイ・ブラウンさんの提唱するメイクとは美人がよりキレイに見えるようにするためのメイクではなく、全ての女性が自分に自信を持ち、その人らしさが光るようにするメイク、と言えそうです。
全ての女性が魅力的になるメイク
女性誌などで特集されるメイク関連の記事に登場するモデルさんは決まって美人ばかりです。
それはそのメイクのすばらしさがより際立ち、読者にも納得させやすいからでしょう。
もともと自分が美人であればそのメイク術は有効かもしれません。
しかし、そうではない女性読者にとっては「役に立たない記事」、「自分とは無関係の情報」でしかありません。
所詮美人がより美しくなるためのメイク(きれいなだけのメイク)では全ての女性を満足させられないのです。
ボビイ・ブラウンさんの提唱するメイクはその人が美人であろうとなかろうと関係ありません。
白人であっても黒人であっても東洋人であっても、髪がブロンドでも赤毛でも白髪でも、要するに誰であろうと、その人だけが持つ「その人らしさ」という美しさを引き出すことを意図しています。
その証明として、『ボビイ ブラウン リビング ビューティー』には美人の女優さんやモデルさんだけでなく、実に個性的な顔の女性たちがモデルとして登場しています。
論より証拠、下の画像をご覧下さい。
こうした写真が『ボビイ ブラウン リビング ビューティー』には多数掲載されています。
人を幸せにするシンプルで確かな方法
最後に、ボビイ・ブラウンさんが本を通じて読者にもっとも訴えたかったことを『ボビイ ブラウン リビング ビューティー』から引用します。
今の私たちにとって大切なことは何でしょうか。実際より若く見せるのではなく、今の年齢の自分が美しく見えること。体重計の目盛りを気にするのではなく、強い体をつくること。顔のシワを取り除くのではなく、肌をなめらかにすること。完璧を求めて戦うのではなく、今の美しさに満足すること。もっとやろうとすることではなく、シンプルにする方法を知ること。そして、多くを得ようとするのではなく、すでに持っているものを磨くことなのです。
『ボビイ ブラウン リビング ビューティー』おわりに より
『ボビイ ブラウン リビング ビューティー』を読んだ後であれば、その1つ1つの言葉の真意をくみ取ることができます。
「実際より若く見せる」とは今の自分を否定し、偽ることと解釈できます。
そうではなく、ありのままの自分を受け入れ、今の自分を肯定し、そこにある固有の美しさに気付くことで、「今の年齢の自分が美しく見える」ようになる、と私は理解しています。
『ボビイ ブラウン リビング ビューティー』を読了した人はエイジングをポジティブに受け入れ、楽しみ、どんな年齢になっても最高の状態でいられる女性に「進化」できることを理解できたと思います。
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